コラム『ごみは異なもの味なもの』
第14話 - 農業から工業へ
2009/11/24 NPO法人理事長 広瀬立成
イギリスの産業革命における社会の変化を、農業中心社会から工業社会への移行とみるかぎり、産業革命は、人類史においてまだ終わっていないといってよい。このことは、今日の日本における農業の衰退と工業化の促進を見れば明らかである。ちなみに、1988年の先進国の穀物(米を除く)自給率は、日本(30%)、アメリカ(109%)、イギリス(105%)、旧西ドイツ(106%)、フランス(122%)、イタリア(80%)となっており、日本はいちじるしく低い。
蒸気機関の熱効率の向上は、ヨーロッパ各国が産業革命を加速するための重要な課題となった。その取り組みにおいて、熱学、電磁気学、化学などが大きく発展し、種々の自然現象が、たがいにどのように関係しているか、また、力学的エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなどの相互転換が明らかになった。

マイヤー
このような状勢のなかで、J. R. マイヤー(独、1814—78)とJ. P. ジュール(英、1818—89)が、熱と力学的な仕事との同等性を発見した。マイヤーはまた、この発見を天体現象に適用し、太陽の熱は、流星が太陽に衝突して失った運動エネルギーが熱エネルギーに転化したものと考えた(もちろん、太陽熱発生についてのこの考えは正しくない)。

ジュール
ジュールは、電流を流した導線が熱くなることから「ジュールの法則」を見いだした。ここで発生する熱を「ジュール熱」とよぶ。さらに、1カロリーの熱が、4.2ジュール(エネルギーの単位)という仕事に相当することを実験的にたしかめた。この値が熱と仕事の関係を示す「熱の仕事当量」である。

ヘルムホルツ
これらの研究を踏まえ、H.R.F.ヘルムホルツ(独、1821—94)は、熱がエネルギーの1形態であることを明らかにしつつ、エネルギー保存の法則およびエネルギー転化の法則を体系化した。これが、「熱力学第一法則(エネルギー保存則)」である。こうして、熱素説は駆逐され、熱の運動説が確立された。
エネルギー保存則は、現象の前後でエネルギーが変らないことを意味する。たとえば、高い位置から流れ落ちた水が水車を回す場合、水がはじめにもっていた位置エネルギー(高さに比例する)は、水車の運動エネルギーに転化するが、2種のエネルギーの大きさは等しい(水車の摩擦は無視する)。エネルギー保存則は、マクロの世界、ミクロの世界を問わずなりたつ普遍的な法則である。
