コラム『ごみは異なもの味なもの』

第19話 - 生命と水

2010/05/21  NPO法人理事長 広瀬立成


 熱力学では、絶対温度を使うことに注意しよう。絶対温度は、分子の運動エネルギーに比例し、その単位は、イギリスの物理学者L.ケルビン(1824−1907)の頭文字をとってKで示し、ケルビンとよぶ。絶対0度は、全分子が静止した時の温度であり、したがって負の温度はありえない。

 日常生活で使っているセルシウス温度(セ氏)は、1742年、スエーデンの天文学者・物理学者A・セルシウス(1701-44)によって提案され、絶対温度とはつぎのような関係にある:

絶対温度(K)=セ氏(℃)+273

 セルシウスは、今のものとは逆に、氷の融点を100度、水の沸点を0度としたが、後に植物学者C.リンネによって今のものに改められた。


 庭からシソとツバキの葉を一枚づつ取ってきた。

 表面はあざやかな緑、裏面はやや白味がかっている。裏面は、葉脈の凹凸がはっきりしていて、手で触ってみるとざらざらする。表面は平らで、光が反射しやすくなっているが、裏面は逆に面積が大きくして、水蒸気の発散を容易にしている。

 虫メガネで見ると、裏面には無数の小さな穴(気孔)がある。ここから水蒸気が熱エントロピーを運び出すのだ。気孔は、直接太陽光にさらされることのないよう、涼しい葉の裏にある。2日ほどすると葉が枯れてくるが、このとき葉は裏側に曲がる(これは、ツバキの葉で、よりはっきり見ることができる)。つまり、葉は、裏面を縮小させて、蒸発を抑制しているのだ。

 砂漠に生きるサボテンの体は、95%が水分。長い乾燥期間を生き抜くために、雨期に地なかの水分を体内に蓄え、それを無駄にしないで保存する巧妙なしくみを備えている。

 水を蒸発させないためには、体表面を小さくすることになり、その結果、最小の面積で最大の内容を包みこむという合理的な形、すなわち球形になっている。この場合、光合成で発生する熱は、水の蒸発で放出されるのではない。水を沸かしてお湯にすることで一旦熱を蓄え、夜涼しくなってからゆっくりお湯を冷ましながら放熱するのだ。表面には「稜」とよぶひだがあり、水分の量にしたがって容積を調整する。稜はまた、きびしい陽射しの下で、日焼けをしないようにかわるがわる日陰を作ったり、風を受けて効率よく冷やす冷却装置の役目も果たしている。

 このように植物は、光合成で発生する熱や、太陽光から受け取る熱で、みずからを焼きこがすことのないよう、熱エントロピーの排出にさまざまな工夫をこらしているのだ。ここでも、生命活動を維持する上で、水が重要な役割を果たしていることが再確認される。