コラム『エコロジー・サイエンス from「灯台」』

第7回 - ミミズに拍手を

2011/06/30  NPO法人理事長 広瀬立成


(本コラムは、2010年6月より第三文明社の月刊誌『灯台』に掲載された連載コラムを再掲載したものです)

 生命の持続性は、植物、動物、菌類の間を、物質が循環することによって維持されている。これらの生物はすべて環境エンジンであり、物質不滅の法則によって、吸収する物質の量は排出する物質の量に等しい。

 生物が存在する空間「生物圏」は、ほぼ、地上から海中の約10000m(10km)の間で、地球の半径、約6000kmの600分の1にあたる。これは、直径40cmの地球儀であれば、その表面に張られた厚さ約0.3mmの紙にすぎない。この狭い空間のほとんど高度0mの平面に、60億を超す人間がひしめいている。

 いやいや、驚くのはまだ早い。生物圏には約105万種の動物がすむ。このうち人より大きい動物は100種を超えないといわれるが、小さい生物ほど数が多いことを考えると、動物の数は想像を絶するものになる。菌類になればさらに数が増える。スプーン1杯の良質の土壌には、世界の人口に相当する60億個もの菌がいるといわれる。

 生物圏にはこのように莫大な数の生物が存在するが、それらは、生産者(植物)、消費者(動物)、分解者(菌類)として固有の役割を果たしつつ、食物連鎖の輪を作っている。

 生産者としての植物は、牛や馬などの草食動物に食料を提供する。牛、馬、鹿などの動物は、消費者として植物を摂取する。

 人間もまた、消費者として、野菜や穀物を食べるが、同時に、肉や魚も食べる雑食動物である。僕が子供のころは、人間の排泄物は畑に投入されたが、それはミミズなど土中の微生物のえさになった。

 ミミズはきらわれ者の代表格だが、世界中には約2700種類もいて、オーストラリアには3mを超すものも生息する。アメリカでは、ミミズを使った料理コンテストもあるという。土を飲み込み、有機物を吸収して残りを吐き出しながら土を少しずつ耕すので、ミミズ対比としても利用されている。ミミズは死んだ後も消化液によって体を分解し下位の微生物のえさになる。

 ミミズの涙ぐましい努力に拍手を送ろうではないか!