コラム『エコロジー・サイエンス from「灯台」』

第9回 - 生命活動で熱が出る

2012/01/01  NPO法人理事長 広瀬立成


(本コラムは、2010年6月より第三文明社の月刊誌『灯台』に掲載された連載コラムを再掲載したものです)

 動物は活動することによって熱を発生する。ここでいう活動とは、心臓など内蔵の運動やスポーツなどで体を動かす(筋肉運動する)ことをさす。先に、生物を環境エンジンとみなすと、取り入れた資源と等量の物質が排出されることをのべたが、生きていくためには、物質とはべつに、熱もまた環境エンジンの外に放出されなければならない。

 運動にはエネルギーを必要とするが、それはたとえば、お米やバンから取り込んだ炭水化物(糖質ともいう)が酸素と反応して燃える(酸化する)ことによってつくられる。1グラム(g)の炭水化物は、4キロカロリー(kcal)の熱エネルギーを発生する。この場合も、4キロカロリーを消費したから,1gの物質が消えた(体重が1g減った)と考えてはならない。「物質不滅の法則」によれば、取り入れた物質とほとんど等量の物質(1g)が,汗や排泄物として体外に放出されるのである。

 激しい運動をするときには、大量の炭水化物、タンパク質、脂肪は燃えなければならないが、そのために大量の酸素が必要になり呼吸が早くなる。血液中の赤血球(ヘモグロビン)は、火事現場ともいうべき運動する筋肉まで酸素を運ぶ役割をになっている。

 活発な生命活動には大量の発熱がともなうが、そのことによって温度が高くなれば、燃焼はますます激しくなり大火事に発展する。このような燃焼の暴走を防ぐために、人間は、汗の蒸発によって熱を体外に放出している。1gの水が蒸発すると、540カロリーという大量の熱がうばわれるのである。人体ばかりではなく、森林破壊による砂漠化や都会のヒートアイランド現象によって気温が高くなるのも、水不足に原因がある。

 太古の地球において、生命は水のなかで発生した。胎児は,子宮内の水(羊水)に守られて成長する。成人の体の約65%は水であるが、10%の水不足で痙攣や腎不全などをひきおこし、水を飲まなければ、5日間ほどで死にいたる。ごくありふれた水ではあるが、生命維持には欠かすことができない物質だ。生命の星「地球」に生きつづけるために、私たちは「水をむだ使いしない、水を汚さない」という最低限のルールだけは守らなければならない。