コラム『ごみは異なもの味なもの』

第4話 - 環境はエンジンである

2009/07/22  NPO法人理事長 広瀬立成


 ごみの種類やごみが関係する現象は、きわめて広い範囲に及んでいる。そのことは、毎日排出するごみを眺めてみれば一目瞭然だ。紙類、プラスチック、金属、生ごみ…などがあり、さらにその処理についても、燃やす、埋める、堆肥化、ガス化、リサイクル…など多岐にわたっている。これらの現象を包括的に理解しようとすれば、既存の学問分野にこだわっていてはどうにもならない。ごみ問題の基本を何とか物理学の土俵にのせて考えられないか…。そんな思いが頭を離れなかった。

 物理学には、ニュートン力学、熱力学など、自然界の基本的なしくみを明らかにする学問。これら物理学の成果を注意深く検討することによって、きっとごみ問題の本質に迫ることができるにちがいない…。40年近く物理学研究に携わってきたおかげだろうか、そんな直感が頭をよぎった。


 直感は図星だった。

 ぼくはまず、人間も、動植物も、さらには産業装置も、およそ地球上で活動するシステムをエンジンとしてとらえることにした。いかではこれを「環境エンジン」とよぶことにしよう。物理学では、複雑な現象を扱う場合、それを単純化したモデル(模型)を想定し、その現象の本質に迫るという手法がよく用いられる。


 環境エンジンの特徴をみてみよう。

 エンジンには入り口と出口があり、入り口から取り込まれた資源(エネルギーと物質)は、仕事をしつつ、廃棄物(ごみ)となって出口から放出される。地球環境の持続性とは、この環境エンジンが、いつまでも動きつづけることに他ならない。

 環境エンジンの一例として、人間の体(人間エンジン)を考えることにしよう。

 体にとっての環境には、体を取り巻くすべて、例えば、草木、川、海、山、大気とそこに住む生物などがある。ただし、ここでのべた環境とは、あくまでも自然の環境であり、それとは別に社会環境(あなたの地域社会、職場、さらに友人関係など)があることも注意しておこう。もちろん、しばらくは、主として自然環境を取り扱う。

 人間はまず、生きていくために、環境から食料や空気などの物質を、さらに冬であればストープから熱を取り入れる。体の中では、胃や腸で食料が加工され、生きていくためのエネルギーが生産される。その結果、老廃物(物質や熱エネルギー)が発生するが、それはかならず排出されなければならない。体が成長するためには栄養のあるものを食べるべし、ということで、環境エンジンの入り口ばかりに注目するのはまちがっている。きちんとした排泄があって、はじめて美味しく食べられるし、健康が維持できるのだ。