コラム『ごみは異なもの味なもの』
第6話 - 環境のたまねぎ構造
2009/08/06 NPO法人理事長 広瀬立成
さて人間から発生した熱は、人間→外側の環境(部屋)→さらに外側の環境(大気)、というように、順に、上空へと運ばれてゆく。
ここでわかることは、環境には、多重的な構造(たまねぎ構造)があり、それぞれの階層が環境エンジン(そのシステムが入り口と出口をもつ)になっているということだ。これらの環境エンジンを、たまねぎの中心から、「環境1、環境2、環境3…」のように書くと、熱が伝わっていくためには、それぞれの環境エンジンの温度が、「温度1>温度2>温度3…」のように、順次低くなっていなければならない。
もしこのようなしくみに異常が起こると、環境エンジンに障害が発生する。いま問題になっている地球の温暖化は、たまねぎ構造に支障が生じていることを物語っている(たまねぎが腐敗しつつある。一刻も早く手当をして、美味しいたまねぎを取り戻さなければならない)。
熱を奪った水蒸気は、たまねぎの層を貫きつつ昇ってゆく。では一体、水蒸気はどこまで上昇するのだろうか。それは、「たまねぎの一番外側の環境が何であるのか」と、問いかけることでもある。
生物の生命活動では、大量の熱が放出される。その詳細は後ほどのべるとして、ここでは、熱の放出に水が本質的な役割を果たしていることに注目したい。
1気圧の水は、0℃で氷になり、100℃で沸騰して水蒸気になる。このように、同じ物質が、「固体、液体、気体」というように状態を変えることを相転移と呼ぶ。水分子は、水素原子(H)2個と酸素原子(O)1個からなり、H2Oと記す。中学校で、「エツチ・ツー・オー」と記憶したことを思い出す人も多いだろう。
水を密閉した容器に入れてある温度に保つと蒸発が起こるが、水の上の空間に水蒸気がたまってくると、蒸発はやがて停止する。そのときの圧力を「飽和蒸気圧」という。水は100℃以下でも、飽和蒸気圧以下であれば蒸発する。100℃では飽和蒸気圧は1気圧だから、水の内部からも蒸発がおこり沸騰する。蒸発では、1gにつき540カロリーという大量の熱(気化熱)が奪われる。それは、5・4gの水を、0℃から100℃まで温める熱量に等しい。
水の気化熱が大きいために、水は蒸発することによって、生物から効率よく熱を運び出すことができるのである。
