コラム『ごみは異なもの味なもの』
第7話 - 水の惑星地球
2009/08/18 NPO法人理事長 広瀬立成
生物は活動することによって熱を発生する。その熱は水の蒸発によって大気中に発散される。
水蒸気の比重は大気の約半分だから、大気中に放出された水蒸気は、上向きの浮力を受ける。他方、水蒸気には、重力という下向きの力もはたらく。結局、水蒸気は、浮力が重力よりわずかに大きいため、5000mあたりまで上昇し、そこで冷えて(放熱して)液化する。そのとき、水蒸気に含まれていた熱(1g当たり540カロリー)は、宇宙空間に熱線として放出され、水蒸気は冷やされる。こうして水は、雨や雪として再び地球に帰ってくる。地球エンジンが、宇宙への熱放射を通して開放系になっていることがわかる。
ここまでくれば、たまねぎの一番外側は、宇宙空間であることがわかるだろう。そこは、地上とは違って、無限に広い熱の廃棄場なのだ。地球は巨大な冷蔵庫に覆われていて、私たちは、何の気兼ねもなく熱を宇宙空間に捨てることができるのだ。
もし地球がもっと大きかったら(重かったら)、重力が強くなり水蒸気は十分上空まで到達することができない。すると、そこの温度は地表とあまり変わらないだろうから、水蒸気は冷えて水に相転移することができない。つまり、水の循環はありえないことになる。逆に、もし地球がもっと小さかったら(軽かったら)、水蒸気はどこまでも上昇して、地球にもどってこない。月に水がないのはそのためだ。
地球は、水蒸気を逃がさないほどに重く、水蒸気を十分な高さにまで上昇させるほどに軽いのだ。生命を宿す惑星「地球」が、水を保持する上で、いかに多くの幸運に恵まれているかがわかる(地球環境の物理学については、広瀬立成著『地球環境の物理学』ナツメ社(2007年)をご一読願いたい)。
1961年4月12日、ソ連(当時)の宇宙飛行士、ガガーリンは、4・7tのウオストーク1号に乗り、世界で初めて大気圏外に飛びだした。その時彼の口から出た「美しい! 地球は青かった」という言葉は、地球のどこにでもある水こそが、生命の繁栄をもたらす主役であることを思い起こさせる劇的な名文句であった。
