コラム『ごみは異なもの味なもの』

第9話 - マクロ(巨視)の世界とミクロ(微視)の世界

2009/09/02  NPO法人理事長 広瀬立成


 私たちが目で見ることができる物質の世界が「マクロ(巨視)の世界」。これに対して、物質を構成する基本的な(微視の)要素に注目したとき、その世界を「ミクロ(微視)の世界」とよぶ。ニュートン力学はマクロの世界の運動法則を明らかにした。分子や原子などのミクロの世界にはニュートン力学では説明できない現象があり、その解明には、20世紀に発展した量子力学を待たねばならなかった。物質を解明するための物理学の手法は、量子力学を駆使して、その物質の、ミクロの世界におけるふるまいを調べることである。

 ここでも、物理学の常套手段にしたがって、ミクロの水、すなわち水分子に目を向け、その特性を調べることにしよう。ただし、量子力学の詳細には立ち入らないことにする。

 水分子H2Oは、水素原子2個と酸素原子1個からできている。原子の中心には、原子核とよぶ小さな核があり、そのまわりをマイナス電荷をもつ電子が回っている。原子核は、陽子と中性子からなり、陽子はプラス電荷をもつが、中性子は電気的に中性。ややこしい説明より、百聞は一見にしかず。図に示した酸素原子と水素原子の構造を見てほしい。

 陽子の数を、原子番号とよぶ。それは、原子の質量や特性を表わす指標である。ちなみに、水素原子と酸素原子の原子番号は、それぞれ1と8。原子の質量は、ほぼ、陽子と中性子の質量(原子核の質量)の和になる(電子の質量は、陽子・中性に比べ、1840分の1)。体重60kgの人であれば、30gほどが電子で、あとの大部分は陽子と中性子ということになる。


 以下でしばしば使う物質量の基本単位「モル」を説明しておく。

 質量数12の炭素12(陽子6個、中性子6個、電子6個)12g中にふくまれる原子の数(アボガドロ数=6x1023)と同数の原子、分子の物質量を1モルと定義する(アボガドロ数は、2x3=6と覚えておこう)。

 たとえば、水素原子1モルの質量は約1g、酸素原子は約16g、水分子は約18g。水や氷の比重を約1とすると、1モル(18g)は、約18立方センチメートル(cc)となる。標準状態(0℃、1気圧)では、気体分子1モルの体積は22.4リットルになる。

 アボガドロ数は気が遠くなるほど巨大な数だ。それは、1兆の6000億倍。もし1秒に1づつ数えていくと、宇宙の年齢(約140億年)の100万倍もの時間を要する。手の平にすくった水のなかに、これほど莫大な分子があるとは驚きだ。自然は奥深い!