コラム『ゼロ・ウェイスト日記』
謹賀新年
2010/01/01 広瀬立成
皆様、あけましておめでとうございます。
2009年は、気候変動についての締約国会議、COP15がデンマークで開かれ、また日本では温室効果ガスの25%削減が提唱されたりして、地球温暖化に対して世界の注目が集まった年でした。日本人は1年間およそ13億トンのCO2を排出していますが、これは、アメリカ、中国、ロシア、インドについで、世界で5番目の排出量です。
CO2が発生する原因は、ものを燃やすことにあります。私たち日本人は、年間5000万トンの生活ごみ(これは東京ドーム136個に相当します)を出していますが、そのほとんどが燃やされているのです。日本は、世界の焼却炉の3分の2がある焼却大国です。
私たちは、週2回の収集でごみが生活の場から持ち去られると、「ああ、さっぱりした」といって喜ぶかもしれません。しかし、ものを燃やしてもその総量は変わらないという事実を忘れてはなりません。つまり、5000万トンのごみの大部分は、温暖化ガスになって私たちのまわりに年々蓄積しているのです。
日本は、約7000万台の自動車を保有する自動車大国です。自動車もまた、ガソリンを燃やしてCO2を排出しています。もちろん、工場ではさらに大量の化石燃料が燃やされています。このように見てくると、私たち先進国の市民は、国を挙げてものを燃やし、CO2を排出していることが分かります。
多くの研究者は、気温上昇を2℃以内に押さえなければ、地球は引き返すことができない致命的な災難に遭遇することを予測しています。他方、私たちが今のままの生活-----大量の化石燃料を燃やす生活---を続けていたのでは、あと20年ほどもたてば2℃をこえることもはっきりしてきました。化石燃料に依存した温暖化地獄に転げ落ちるのか、それとも地獄の入り口で踏みとどまることができるのか、人類は大きな決断を迫られています。「日本はすでに世界の中で低炭素社会になっている」などと呑気なことをいっている余裕はないのです。市民も、企業も、政府も、あらゆる立場の人々が、「燃やさない社会」への改革が求められているのです。
ぶつぶつ文句ばかりいっている産業界と腰の重い政府。そんな連中を尻目に、市民が立ち上がりつつあります。ごみを減らし資源化して、「燃やさない社会」をつくろうという取り組みがはじまっているのです。
明確なごみゼロ社会への移行は、「ゼロ・ウェイスト(もったいない)宣言」によって実現されますが、初めての宣言は2003年徳島県・上勝町で制定されました。2008年には福岡県・大木町が、そして、昨年11月には熊本県・水俣市がこれに続いています。「ゼロ・ウェイスト宣言」を制定した3つの自治体は、いずれも人口約3万人以下ですが、42万人を抱える町田市では、2006年から、「ごみを燃やさない、埋めない、作らない」という理念のもとに1年間の大がかりな「ごみゼロ市民会議」がおこなわれ、それ以来、ゼロ・ウェイストの実現に向けた多くの取り組みが進んでいます。日本がものを燃やさない、持続的な国に生まれ変わるためにも、人口が集中する都市でのごみ政策のあり方を抜本的に見直す必要があります。
2009年、本NPOは、環境省およびトヨタ財団から支援を受けた事業の促進に全力を傾注してきました。それらは、立場と世代を超えた協働を基礎として、ゼロ・ウェイストのまちづくりを目指す活動です。2010年はこれら2つの事業をさらに発展させ、都市における「燃やさない社会」の青写真をつくります。
ごみは、「燃やす社会」の象徴です。そして、だれもが、どこでも、毎日ごみをだします。この当然と思われてきた習慣に反省の目を向けるとき、「燃やさない社会」への扉が開かれ、温暖化防止への第一歩が踏み出されるのです。
2010年1月1日 理事長 広瀬立成
