コラム『晴耕雨読の日々 Sunfarm, Rainbooks』

第1回 読書会プロジェクトから農業プロジェクトへ

2009/06/03  桜美林大学経済学部 片山博文


 私は大学教員であるが、昔から「晴耕雨読」にあこがれていた。宮沢賢治が大好きだったことも影響しているのかもしれない。私が「雨読」の方のテーマを追求するために自分の大学でこの間取り組んできたのが、「読書運動プロジェクト」である。これは学生諸君に「読書会を開こう!」と呼びかける運動である。私が学生時代には、キャンパスのあちこちで読書会が行なわれていた。私も友人たちとヘーゲルやマルクスの読書会をやったが、難しくてさっぱり訳の分からない彼らの著作を前にして、「珍説」や「曲解」を闘わせるのはとても楽しかったし、そのときの議論がいまでも大きな力になったと感じている。私はそういう読書会の伝統を現代に復活させたくて、ここ何年か学生諸君に呼びかけて読書会を行なってきている。一昨年からは、読書会を授業にしてしまい、「学際・統合科学基礎(読書会で学ぶ)」という授業を開講した。読む本は小説が多いが、いろいろな立場や考えを持った学生さんたちと、一つの本をめぐって自由に語り合うのは本当に楽しいものである。

 そしていま、私が町田・ゼロウェイストの会で取り組もうと思っているのが、「農業をやろう!」というプロジェクトである。石油文明、工業文明の限界がもはや明らかとなっている現在、やはりこれから大事なのは農業だ。町田は町田駅前のように非常に商業が栄えているが、一歩中にはいれば豊かな自然や農地が広がっている。ところが、日本全国の農業の実態にもれず、ここ町田の地でも農家の高齢化が進み、やむを得ず放置せざるを得なくなった休耕田が少なからず存在する。そうした休耕田を借り受けて、ぜひ農業をやってみたい。将来的には、町田市から出る生ごみやし尿を堆肥化して、真の循環型社会を実現したい。いわば、市民参加の都市近郊農業の「町田モデル」をつくりたいと思っているのだ。ただ、私には農業体験が全くない。作物を育てるなんて奇跡のようだし、全くイメージさえ出来ないのが現状である。だから農家の方々をはじめいろんな人たちの協力を頂き、私と同じように農業を知らない学生たちをも巻き込んで、農業の輪を広げていきたいと思っている。とりあえず私はこのプロジェクトを「町田ダッシュ村プロジェクト」と勝手に名づけているが、個人的位置づけから言えば、このプロジェクトは「読書プロジェクト」とともに、自らの「晴耕雨読プロジェクト」の車の両輪となるべきものなのである。

 このように夢は大きいが、「町田ダッシュ村プロジェクト」はまだ始まったばかりなので、その方は状況が進展してからおいおい書くことにして、当面は農業に関して思っていることを書いていくつもりである。まず、キューバの有機農業から始めたい。

(つづく...)