ゼロ・ウェイストとは

日本のごみ政策

大量廃棄のごみ

 現在、日本で毎年、家庭や事業者から排出されるごみ(一般廃棄物)は5000トンで、東京ドーム136個という莫大な量になります。

 日本は、全世界の焼却炉の2/3(約1400基)が集中しているという消却大国です。そして、毎年、約2兆円という莫大な税金がごみの処理に使われています。私たちは、税金を使って、大気、水、土壌を汚染しているのです。

 このような一般廃棄物にくわえ、その8倍(4億トン)もの産業廃棄物があります。毎年廃出される大量のごみは、決して消えることなく,私たちのまわりに温暖化ガスや有害な消却灰となって蓄積しつづけます。

 大量生産・大量消費・大量廃棄の今日の日本は、将来世代に環境汚染というつけを残す非持続的な社会です。一刻も早くこのような浪費社会を改め、ものを大切にし、自然と共生する「もったいない社会」の建設が望まれます。


ゼロ・ウェイストの考え方

 ゼロ・ウェイストとは、資源の徹底した再利用と再資源化を目指すとともに、ごみの発生そのものを抑制して持続ある社会を実現しようとする考え方で、以下のような特徴がります。

  1. 3Rとして知られる発生抑制(リデュース: Reduce)、再使用(リユース: Reuse)、再生利用(リサイクル: Recycle)を優先させ、焼却や埋め立てを例外的な措置にしていく。
  2. ごみ削減・資源化について、数値目標の設定と達成年次を公表し、段階的に目標を実現していく。
  3. ごみになるものを生産しないよう、生産者にも責任を求める(これを「拡大生産者責任」とよびます)。
リサイクル広場での分別の様子

 3Rを具体的に実行する際の基本原則としては、4Lが重視されています。4Lとは、地域主体(Local)、低コスト(Low cost)、低環境負荷(Low impact)、最新技術によらない技術(Low tech)を意味し、安全を重視し、地域住民と一体となったごみ政策が進められます。

 地域全体がゼロ・ウェイストの考え方を共有し、それに沿った施策を実現するために、「ゼロ・ウェイスト宣言」が制定されます。

 近年海外では、3Rを端的に表す言葉として、日本古来から言い伝えられてきた「もったいない」が注目され、環境保護の合言葉として広がりをみせています。



特定非営利活動法人 町田発・ゼロ・ウェイストの会が目指すビジョン

 2008年9月に発足した町田発・ゼロ・ウェイストの会(以下当会)は、それまでのゼロ・ウェイストの考え方を踏まえつつ、さらに,これからの新しい時代の環境先進都市にふさわしい独自のビジョンを提案し、その実現にむけた具体的な行動を進めます。

 町田市では、2006年10月から2007年11月まで、「町田市ごみゼロ市民会議」が開かれました。これは「ごみなるものを作らない,燃やさない,埋め立てない」という市長の画期的な理念の下に、134名の市民委員が1年間に280回の会議と実証実験を行った大規模な社会実験です。この市民会議に見られるように、町田市では、市民が主体的にごみ問題に取り組むことが大きな特徴になっています。

北部丘陵

 町田市の地勢的な特徴として、人口が42万人の首都圏の都市であること、そして、中心部の都市的様相と北部丘陵地帯の豊かな自然のなかに農の風景が共存していることがあげられます。このような多様な姿をもつ町田市には、商業、工業、農業の連携によるごみゼロを基礎とした活力ある地域内循環型社会を創成しうる多くの可能性が内在しています。

 当会は、町田市民の意気込みを基軸にして、市の歴史や地理の特徴を生かしつつ、ごみの削減と資源化を実現するためのさまざまな活動を進めます。それは、環境、福祉、教育、農業などを包括した活力ある多文化社会の構築を目指すもので、このような取り組みを全市に浸透させ、早い時期に「ゼロ・ウェイスト宣言」が制定されるよう努力します。

 当会はまた、町田市での活動の成果を、一方では大都市へ、他方では農山村へ発信し、全国の市町村の皆さんと「ゼロ・ウェイスト」のビジョンを共有しつつ、持続ある地域社会の拡大を目指します。


協働によるゼロ・ウェイスト運動の進め方

 今日、多くの市町村では、ごみ問題についての市民と行政の主張に隔たりがあり、その結果、深刻な対立が起こったり、不信感がつのるという事態がしばしば見受けられます。市民一人一人がかかわりをもつごみ問題を進めるには、市民が主体になることは当然としても、その根本的な解決には、市民と行政の緊密な協力関係「協働」が不可欠です。

 「協働」とは立場のちがったグループが、その特質を生かしつつ新しい目標を達成することであり、ごみ問題こそが市民、行政,さらに企業などの「協働」を必要としています。

環境大臣と理事長との対談

 当会は、発足当初から、行政との協働を重視し、多くの提言を行いながら、行政が行う事業の実現を支援してきました。現在進められている生ゴミの堆肥化リサイクル広場における資源化と再利用の促進レジ袋の廃止お祭りでのごみ削減環境教室(ハチドリ教室)などの事業は、市民の発想から生まれ行政の施策に取り入れられたものですが、当会はこれらの事業の計画、実施、評価の各段階で行政との協働に力を注いでいます。

 今後も,当会は、先進的なビジョンを提示しつつ、市民、行政、企業,大学などの緊密な協働により、ゼロ・ウェイストのまちづくりを進めます。


ゼロ・ウェイスト運動は今

<日本の状況>

上勝の日比ヶ谷ステーション
大木町くるるん

 2003年、徳島県上勝町(人口約1800人)は、日本で初めて、ゼロ・ウェイスト宣言を制定しました。2020を目標に本格的なごみ減量・資源化政策が進められていて、34分別を実施し、世界トップレベルの資源化率80%を達成しています。また、2005年には、NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーが設立され、ゼロ・ウェイストに関連するさまざまな活動を進めています。

 福岡県の南西部に位置する人口約14500人の大木町は、2008年にゼロ・ウェイスト宣言と同等の「もったいない宣言」を制定しました。わずか2 年でごみ量を半減し、2016年までにごみの焼却・埋立て処分をしないというゼロ・ウェイスト達成を宣言しています。

 両自治体の成功により、ゼロ・ウェイストは日本国内においても市民権を得つつあり、東京都町田市、神奈川県葉山町、熊本県水俣市も、現在ゼロ・ウェイスト政策の検討段階にあります。

<世界の状況>

 ゼロ・ウェイスト政策は、世界的に見て、すでに確固たる流れを築きつつあります。

 1996年、オーストラリアの首都キャンベラが、「2010年までにゼロ・ウェイストの達成をめざす」と宣言して世界を驚かせました。もちろん、焼却炉はなく、地域住民も一体となった取り組みによって、現在までに75%のリサイクル率を達成しました。

 キャンベラの宣言に刺激され、ニュージーランドでは、国レベルでゼロ・ウェイスト政策が採用され、現在までに、全国71の自治体のうち、実に70%に及ぶ51の自治体がゼロ・ウェイストを表明しています。

 カナダのノバスコシア州、アメリカのカリフォルニア州の多くの自治体もこれに続き、わずか数年のうちにリサイクル率50~70%を達成する自治体が世界各地で続出したことで、今やゼロ・ウェイストは世界的に注目される存在となっています。

 イギリスでは、ゼロ・ウェイストを主張する経済学者が政府の廃棄物政策に直接たずさわり、焼却中心の政策に転換を迫っています。ヨーロッパの多くの国では、実質的にゼロ・ウェイストに相当するごみ政策を実施し、各国が独自の取り組みを進めています。